べっぴんさん|五十八の成功とモデルの佐々木八十八の違い

 

朝ドラ『べっぴんさん』では、すみれの父親の坂東五十八

出自が描かれました。

 

坂東本家から独立し商売を広げたにも関わらず、本家が傾いた後は

顧客を譲るとの理不尽も経験し近江を去ることになります。

 

その後は妻のはなが布地を近江で仕入れて、五十八が神戸で売り

商売を成功させました。

 

それが坂東営業部となって、今や豪邸に住むほどの財を成しています。

 

彼のモデルはレナウンの前身企業だった佐々木営業部の経営者

佐々木八十八です。

 

八十八もかなりの資産家でしたが、成功に至る経緯は五十八とは

大きく異なっています。

 

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(佐々木八十八と倆子夫妻)

 

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五十八の成功とモデルの佐々木八十八の違い

 

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佐々木八十八は明治7年(1874年)52日生まれで、

実家はべっこう商の和泉屋を営んでいました。

 

14歳で父親を亡くし経済的に苦労をしますが、当時珍しかった

海外からの輸入品(舶来品)に着目し、貿易商を志します。

 

明治23年(1890年)に16歳で舶来雑貨輸入業の大由商社に入社し、

貿易業のノウハウを学びます。

 

仕事の傍ら夜間に浪速英和学校に通い語学も習得し、明治35年(1902年)に

27歳で大由商社を退職し独立します。

 

資本金500円で舶来雑貨を扱う佐々木営業部を大阪の船場に設立すると、

すぐに商機は訪れます。

 

当初は毛布や羽根布団、ネクタイや香水を中心に扱っていましたが、

その2年後の明治37年(1904年)に日露戦争が勃発すると、

外套や防寒シャツ、靴下などの軍用品が明治政府から大量に注文されます。

 

さらにメリヤスを手掛けるようになると、こちらも軍需品として

飛ぶように売れました。

 

この創業2年目に訪れた日露戦争の特需の影響は大きく、

佐々木営業部の経営は完全に軌道に乗ることになります。

 

また大正12年(1923年)9月に関東大震災が起こった際には、

当時の支配人の尾上設蔵(野上正蔵のモデル)が大量の日用雑貨を

東京に持ち込んで大きな利益を挙げます。

 

さらには大震災で東京周辺のメリヤス工場が大打撃を受けたこともあって、

佐々木営業部は東京に進出し、レナウン・メリヤス工業株式会社を目黒に設立して

自社でメリヤスを生産します。

 

すると東京の百貨店を中心に注文が殺到し、昭和6年(1931年)には

日本橋に東京佐々木営業部を設立。

 

昭和13年(1938年)に東西の佐々木営業部が合併すると、

名実ともに日本一のメリヤス会社となりました。

 

このような成功を掴んだ八十八の事業ですが、もちろん彼の商才のお陰でも

あります。

 

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当時の商店の多くは丁稚奉公などで人材を育成していましたが、

八十八はそのようなことをおこなわずに、高校卒や大学卒のインテリ

積極的に採用します。

 

昭和8年(1933年)に入社し戦後に佐々木営業部を再興する尾上清も

慶応高校卒の高学歴でしたし、他にも東京帝国大学や京都帝国大学出身者を

採用していました。

 

八十八は高校も大学も出ていませんが、仕事をしながら夜学で英語を身に着けた

経験もあり、学問の大切さを知っていたようですね。

 

後に佐々木営業部の経営を任せることになる設蔵にしても、19歳の時に

見習いで入社しましたが、八十八はいち早くその能力を見抜いて要職に

抜擢しています。

 

また明治末期から大正にかけては、ようやく庶民にも洋装が浸透しはじめた頃

でしたから、それに先駆けてメリヤスに注目した慧眼も光ります。

 

さらに特筆すべきは彼の人柄です。

 

「人を見かけや職業で差別してはならない」というのがポリシーで、

当時としては珍しく男尊女卑の思想も持っていませんでした。

 

従業員の面倒見もよかったことから、番頭で後に佐々木営業部の経営を

任されることになる尾上設蔵も同社のために身を粉にして働きました。

 

その息子の清も戦後に佐々木営業部を自らの手で再興した折も、

社長は八十八の息子の隆一に就任を願っている(結局辞退)ことからしても、

その忠誠心が垣間見れます。

 

このように彼は優れた商才を持ちながらも、多くの人々に好かれた人物

だったのです。

 

このあたりはドラマの坂東五十八のキャラクターにも表れていますね~

 

ふたりの成功の経緯は大きく異なりますが、稀な商才を持った好人物であることは

確かなようですね♪

 

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