べっぴんさん｜VANはなぜ倒産・破産したの？エイスのモデル
朝ドラ『べっぴんさん』では、行方知れずとなっていた栄輔が、
若者に人気のブランド「エイス/エース」を引っさげて再登場。
しかもかつてキアリスの偽物を売っていた玉井と組んでおり、
潔のオライオンと対決することになりそうです。
このあたりの展開はドラマオリジナルですが、予想だにも
できなかったことから目が離せませんね♪
そしてエイスのモデルとなっているのが、石津謙介が設立した
ブランド「VAN」です。
別の記事でもご紹介しましたが、VANは昭和30年代にアイビールックの
大ブームを起こし、その後も人気ブランドとして成長しつづけました。
ところが最終的に昭和53年（1978年）に500億円もの巨額の負債を抱えて
倒産・破産しています。
一時は飛ぶ鳥さえも落とすような勢いのあったVANですが、
なぜ潰れてしまったのでしょうか？
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VANはなぜ倒産・破産したの？エイスのモデル
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石津謙介が設立した石津商店が起源のヴァンジャケットは、
昭和26年（1951年）創業で、昭和30年代からアイビールックを展開し、
30年代後半には瞬く間に人気ブランドとなりました。
そして売上も昭和45年（1970年）には69億円、昭和47年（1972年）には
126億円、昭和49年（1974年）には452億円を記録するなどあり得ないような
伸びゆきでした。
しかし昭和52年には380億円に減益となり、前記の通り昭和53年には
500億円もの負債を抱えて倒産しています。
で、なぜVANが倒産してしまったかと言いますと、様々な指摘がなされていますが、
過度の多角経営と石津自身の経営能力が大きな要因だったようです。
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先ほどの売上の伸びを見てもわかるように、石津はかなりのイケイケで、
VANとしての事業のほか、海外の多くのブランドと提携したり、
日本法人を設立しています。
また本社を東京の青山に移転した際にVAN99HALLなどの関連施設を多く作り、
あたかも青山をVANビレッジ化しようとしています。
（VAN99HALL）
さらには家庭用品を扱うオレンジハウスなど、アパレル以外の事業にも
手を出します。
他にもアメリカンフットボールのチームを作ったり、北海道の牧場を
買い取って競走馬の育成などもおこなっています。
ところが実はほとんどの関連事業が赤字で、石津自身もかなりアバウトな
ガバナンスだったことから、売上が伸びる一方で、負債も膨張していきます。
さらにはVANには石津の指揮のもと、当初から商品を作り過ぎる体質があり、
抱えた多数の在庫を廉価で手放すこともあったことから、昭和40年代後半ごろ
にはブランドイメージも低下してしまい、「バーゲンブランド」のように
なってしまいます。
そして昭和50年（1975年）から、商社の丸紅、三菱商事、伊藤忠が経営に
参画することになりますから、この頃にはかなり経営状態が悪化していたと
思われます。
さらに追い打ちをかけたのが、昭和52年と53年に２年連続で続いた
天候不順（暖冬）です。
この２年連続の暖冬で冬物の衣料品の消費は大きく落ち込み、
軒並みアパレルメーカーに打撃を与えます。
ただでさえ経営状態が悪化していたVANにとっては、これはまさに
「トドメ」となってしまい、支援していた商社も再建を諦めました。
結局昭和53年4月に会社更生法を申請しますが、同年10月に東京地裁が
これを却下し、VANは完全倒産ということになります。
会社更生法が適用されなかった事実に鑑みれば、経営状態はもちろんのこと、
会社組織としての状態もかなり悪かったのでしょう。
このあたりには倍々ゲームで売上を急激に伸ばしたにも関わらず、
人材の育成がついていかなかったことも倒産の原因とする指摘もあります。
結局は石津謙介はデザイナーやアイデアマンとしては一流でしたが、
経営者としては素人の域を抜けなかったのかもしれませんね。
最終的にはビジネスの規模が巨大になり過ぎて、コントロールすら
できなくなりました。
このあたりは最後までレナウンを成長させ続けた尾上清とは
大きく異なるところです。
このような末路を辿ったVANでしたが、ドラマでは栄輔のエイスは
どうなるのでしょうか？
変わり果ててしまった栄輔のことやモデル企業に鑑みれば、
最終的には悲劇に見舞われるかもしれません。
このあたりには注目ですね。
べっぴんさん｜エースのモデル会社VANの破産・倒産後から再建まで
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