とと姉ちゃん|暮しの手帖が広告なしでも経営できる驚きの理由とは?
朝ドラ『とと姉ちゃん』では、花山との断絶騒動後に常子は
「あなたの暮し」に二度と広告を載せないことを決意します。
花山に「甘い」と言われたように、たとえ雑誌の内容に口出ししないとの
約束をとっても、広告主からは圧力がかかる可能性があることを
知ったことが大きな理由ですね。
これら一連のエピソードはドラマオリジナルですが、
現在でも外部の広告を受け付けないという「暮しの手帖」のスタンスが
下敷きになっています。
ところで雑誌の主な収入は雑誌自体の売上と広告収入で、
実は広告収入のほうが大きいという雑誌も多く存在します。
それにも関わらず「暮しの手帖」は、自らの主義で
広告収入を一切断っている非常に稀な出版社です。
しかもそれでいて経営状態もいいですから、
ちょっと信じられないですよね?
しかしそこには広告収入なしでも経営ができる
驚きの理由があったのです!
コンテンツ
雑誌の広告収入はすごい!
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まず前提に雑誌の広告収入についてご紹介します。
たとえば多くの広告が掲載されていることで知られている
女性ファッション誌ですが、その中でも小学館で出している
「cancam」という雑誌があります。
少し古いデータですが、2000年ごろ同誌の発行部数は約60万部で
(現在は約14万部に激減)、毎号の広告収入は3億円程度あったと
言われています。
当時の定価は620円で、雑誌自体の売上収入は620円×60万=
3億7200万円になります。
しかし取次店や書店の取り分などがあり、一般的に出版社に入ってくる
売上収入は60~65%と言われています。
仮に60%だとすれば、当時の「cancam」の小学館の売上収入は
3億7200万円×0.6=2億2320万円となり、
実は広告収入を下回っているのです。
もちろんメジャー誌は経費も相当かかっていることから、
広告を一切排除しては出版すら成り立たなくなるものがほとんどでしょう。
それだけ雑誌にとって広告収入は大事なものなのです。
暮しの手帖が広告なしでも経営できる驚きの理由とは?
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「暮しの手帖」が広告収入なしに経営できる理由は、
実は別に収入源があるからです。
そしてその収入源というのが雑誌のバックナンバーです。
たとえば同誌の創刊号は発売時には7000部しか売れない
散々な結果でしたが、その後知名度が上がるにつれて
バックナンバーとして売れていきます。
そして昭和33年(1959年)までに創刊号は、累計でなんと
36万部も売れています。
また暮しの手帖社も同年まではバックナンバーの広告を出していたほどで、
それほど大きな収入源だったのです。
社長だった大橋鎭子も同誌が広告を載せずに何とか経営できたのも
バックナンバーのお陰と語っています。
しかし「暮しの手帖」がこれだけバックナンバー売れたのも、
同誌の内容と無関係ではありません。
編集長の花森安治のもと、同誌は決して流行を追ったりせずに、
良質の内容にこだわりました。
またその時々の庶民の暮しに役立つ知恵や工夫なども満載でした。
そのため雑誌にも関わらず「賞味期限」は通常よりも遥かに長く
数年、ものによっては十年程度売れ続けた号もあったほどです。
花森や鎭子がこだわり続けた雑誌の質が、バックナンバーの売上という
副産物まで生み出したのです。
このように暮しの手帖社が広告なしに経営できるといった
類まれな出版社であることは、その内容に徹底的にこだわり続けたからで、
他の出版社が簡単にマネなどできることではないのです。
なるほどと頷ける内容ですね♪
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